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番茶~日本人のソウル飲料~(3/12)「番茶のメリット1」

  • 執筆者の写真: s.kazuki
    s.kazuki
  • 2021年11月9日
  • 読了時間: 3分

〔メリット1〕カフェインが少なく低刺激

 

 番茶は飲みやすくて飲んでいて刺激が少ない。それはカフェインやタンニンが少ないからだ。これは煎茶よりも栽培日数をかけるため、光合成をより長い期間行うことによる。今でも西日本では、日常茶として番茶を飲むことが多い。煎茶や紅茶などと比べると、カフェイン含有量は番茶が最も少ない。



100㎖あたりのカフェイン含有量(浸出液)

玉露

紅茶

煎茶

ほうじ茶

ウーロン茶

番茶

160㎎

30㎎

20㎎

20㎎

20mg

10㎎


参考 文部科学省『日本食品標準成分表 2020年版(八訂)』



 上の表は100㎖あたりであるから、コップ一杯約200㎖だと凡そこの2倍摂取することになる。

 京都の老舗料理店などでも、食後には番茶を出すことがある。これは食後の消化を助け、口内をさっぱりさせ、さらに刺激も少ないということから選ばれているのだと思う。



 カフェインを過剰に摂取した場合、中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気等の健康被害をもたらすことがある。

茶を短い時間にたくさん飲むことで起こる「お茶酔い」なるものがあるが、これはカフェインによる興奮作用である。これにより、ガブガブとたくさん飲めないという人もいる。



 また、特にカフェインに関して敏感で気になるであろう妊婦と小さい子どもにもカフェインが少ないのは嬉しい。

日本において、1日のカフェイン摂取基準は定められていないが、WHOやカナダなどでそれぞれ基準が定められている所もある。

対象

摂取目安

妊婦

200mg/1日   英国食品基準庁

300mg/1日   WHO


子ども(4~6歳)

最大45mg/日  カナダ保健省

子ども(7~9歳)

最大62.5mg/日  カナダ保健省

子ども(10~12歳)

最大85mg/日  カナダ保健省

参考 厚生労働省『食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A』

 


 英国食品基準庁では、2008年に妊婦がカフェインを取り過ぎることにより、出生時に低体重となり、将来の健康リスクが高くなる可能性があるとして、その摂取量の制限がされている。日本においても一つの参考になるはずだ。


 番茶はもともと他の緑茶などと比べてカフェインが少ない。さらに常温水などで淹れることで(水出し番茶)よりカフェインを減少させることができる。そのため妊娠中、授乳中の女性や小さな子ども、高齢者でも安心して飲むことができる。

 ソウル飲料・日常茶を目指す上で、「飲みやすさ」のことを考えると低カフェインの番茶はまさにぴったりな飲料だと考える。





〔メリット2〕カテキン含有量が多い

 

 カテキンはポリフェノールの一種である。

 そもそもポリフェノールは抗酸化作用が強く、活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える作用があり、動脈硬化など生活習慣病の予防に役立つ。また、種類により独自の機能がある。ただし、水に溶けやすい性質があるため比較的短時間で作用するが、長期間効果は持続しない。よって、毎日こまめに継続的に摂取することで、その効果が期待できる。



 そんなポリフェノールの一種であるカテキンは、テアニン(アミノ酸の一種)が日光に当たることで変化する物質である。そのため、より長い期間日光に当たる番茶はカテキンが多く含まれ、その健康効果は様々ある。

抗酸化作用

体内の細胞を酸化させ、老化や病気の原因になる活性酸素。カテキンによって活性酸素を除去でき、老化や病気の予防に役立つ。また、カテキンには毒性のあるスーパーオキシドや一重項酸素と言われる活性酸素を無毒化する。

抗ウイルス作用

カテキンは細菌にもウイルスにも効果がある。ウイルスは細胞の中で増殖する。インフルエンザなどのウイルスは体内に入ると、決められた細胞につく働きがあるが、カテキンを取り入れるとウイルスが細胞につきにくい状態になるので、細胞内で増殖できないため、結果的に風邪予防に役立つ。

抗がん作用

カテキンには活性酸素除去作用やがん細胞の抗突然変異抑制作用がある。さらに、がん細胞の増殖を抑える働きもあるため、がん予防に役立つ。

コレステロール

を下げる作用

カテキンは食事中のコレステロールの吸収を抑え排出を促す働きがある。コレステロールにはLDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールの2種類があるが、動脈硬化を引き起こし心筋梗塞や脳梗塞の原因になるのはLDLコレステロールだ。カテキンを摂取することでLDLコレステロールのみが低下し、HDLコレステロールには影響しないので、動脈硬化や脳梗塞の予防に役立つ。

血糖値の上昇を

抑える作用

カテキンは食後、腸からの糖の吸収を抑える働きがある。血糖値は食後に上昇するので、食前に取り入れることで、腸からの糖の吸収が緩やかになる。

殺菌・抗菌作用

​カテキンには抗菌作用があるので食中毒の原因となるO-157(腸管出血性大腸菌)などの食中毒菌や胃潰瘍や胃がんの原因となるピロリ菌の増殖もおさえるので、食中毒予防や胃潰瘍予防に働く。

虫歯・口臭予防

虫歯の主な原因はミュータンス菌が歯に付着し、酸をつくることで歯の表面のエナメル質が溶けることである。カテキンはミュータンス菌の増殖を抑えるので、虫歯予防ができる。

肥満予防

一定量のカテキンを継続的に摂取し続けると、肝臓での脂質代謝が高まり、エネルギー消費が高まるため、体脂肪が減少する。さらに食事性脂肪の燃焼や食事誘発性体熱産生(*1)も上昇させ、これにより消費エネルギーが増加し、肥満予防に役立つ。

〔*1:食事誘発性体熱産生とは食事後の消化、吸収によって消費するエネルギーのこと。消費エネルギーは基礎代謝、身体活動代謝、食事誘発体熱産生の3つがあるが、そのうち食事誘発体熱産生は消費エネルギー約10~15%である。内臓脂肪が多い人ほど、食事誘発体熱産生が低いので、カテキンの摂取により消費エネルギーが増加する。〕


参考 公益財団法人長寿科学振興財団『カテキンの種類と効果と摂取量』




 このように多くの効果があるカテキンだが、摂取したものは2~3時間ほどで血中からなくなってしまう。

その効果を最大限にするなら、一度にたくさんの量を飲むのではなく、1日2~3回に分けてこまめにカテキンを摂取するのがおすすめだ。

 継続して飲むことを考えると、「飲みやすさ」はより大事な要素となる。





次回「番茶のメリット2」



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