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番茶~日本人のソウル飲料~(4/12)「番茶のメリット2」

  • 執筆者の写真: s.kazuki
    s.kazuki
  • 2021年11月13日
  • 読了時間: 5分

〔メリット3〕糖尿病予防・肥満防止・疲労回復を助ける

 

 近年、糖尿病予防に良いとされるポリサッカライドは番茶に多い。特に、夏の日差しをたっぷり浴びた秋番茶に多く含まれる。



 「ポリサッカライド」とは、多糖類の一種で、インスリンと同じような働きをして血糖値の上昇を抑える効果があると言われている(番茶に含まれる多糖類はL-アラビノース、D-リボース、D-グルコースなどが結合したもの)。

 糖質は「単糖類」「少糖類」「ポリサッカライド(多糖類)」の3種類がある。単糖類は、それ以上分解することができない最小単位の糖質のことで、ポリサッカライドは、たくさんの分子が結合した複雑な糖質のことを指す。

 主な効果として、血糖値が抑制され、糖尿病の予防や腎不全、緑内障などの合併症を未然に防ぐ効果が期待される。



 我々が糖からエネルギーを得る為には、体内で糖質を単糖まで分解する必要がある。

 身体を動かす主要なエネルギーはグルコース(ブドウ糖)であるが、これは単糖類に属す。しかし、ポリサッカライドは複雑な構造を持つ多糖類で分解に時間がかかるため、その分血糖値がゆっくりと上昇する。その間に、血糖値を抑えるホルモンであるインスリンが十分に分泌され、高血糖になることが抑制され、糖尿病の予防に繋がる。


 ポリサッカライドを構成するアラビノースは消化酵素の働きを抑え、体脂肪が燃焼されるのを助けるとされている。アラビノースは、エネルギー源になることがほとんどない性質を持ち、ダイエット用の甘味成分として知られている。砂糖(スクロース)はスクラーゼという消化酵素によってブドウ糖と果糖に分解され、体内に吸収される。しかし、ブドウ糖と果糖が結びついたままでは、体内に吸収されない。そこでアラビノースは、砂糖を分解する消化酵素スクラーゼの働きを阻害する。これにより、砂糖が分解されて体内に吸収されるのを抑制し、甘いものなどの摂りすぎによる肥満抑制効果がある。


 また、ポリサッカライドを構成するリボースは、早く吸収される特徴がある。ここから疲れにくい体を作ったり、筋肉の能力を高めたり、筋肉痛の予防にも効果があると言われている。特に、エネルギーを急激に使用する瞬発性の高い運動などをした際のエネルギーの再補給と疲労回復に効果的だ。

 さらにリボースは、エネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)を生成する。これが活発に行われることで、疲労回復効果がある。また、乳酸値の上昇を抑制する効果で運動後の筋肉痛の予防が期待できる。さらに、細胞エネルギーの代謝異常が原因とされている慢性疲労症候群(*2)の症状改善にも効果があるとされている。

〔*2:慢性疲労症候群とは、原因不明の強い倦怠感、疲労感、頭痛、脱力感などが長期にわたって続く病態をいう。日常的な疲労と見分けることが難しく、現在もその原因が身体的なものか精神的なものか分らず、市販薬での対処もできないとされている。〕



 これらの効果が期待できるポリサッカライドは特に秋番茶に多く含まれているが、水に溶けやすく、熱に弱い性質がある。そのため、より効果的に摂取したい場合は、水出しで飲むことがおススメだ。ここでもやはり一度にたくさん摂取するよりも、毎日継続して摂取することで効果が期待される。

 このように、ここでも継続して摂取することで効果が表れることを考えるとやはり「飲みやすさ」が大事になる。






〔メリット4〕糖尿病や発がん作用などの危険性の低下

 

 糖尿病や発がん作用の危険のある「硝酸塩」の濃度も番茶の方が少ない。

栽培日数が長く、光合成が多くなされた茶葉は、硝酸塩含有量が少ない傾向にある。一般的に茶の種類による硝酸塩含有量は、それぞれ下記のようになっている。


玉露 1000〜1300mg/ℓ

煎茶 700〜850mg/ℓ

番茶 350〜500mg/ℓ           (河野武平著『野菜が糖尿病をひきおこす⁉︎』)


 この硝酸塩は、主に窒素肥料(化学・有機問わず)の多投によって茶葉に多く蓄積する。

窒素肥料は細胞を大きくすることができるが、そこにエネルギーが割かれてテアニンなどのアミノ酸をカテキンなどのポリフェノールにすることが妨げられる。よって、肥料の多投はカテキン量の減少にも繋がり、健康効果も薄れてしまう可能性が大いにある。この硝酸塩に関しては、次章の「硝酸塩について」で詳述する。





〔注意点〕濃い味を期待できない

 

 番茶が日常茶に向く所以は、飲み口は淡白でさっぱりとし、身体に負担が少なく飲みやすい所にある。したがって、現在の一般的な煎茶などの濃い緑色、濃い味、旨みとはほとんど真逆の存在になる。普段から、何でも濃い味がよい方などには物足りなさがあり、重たく飲みごたえのあるものを飲みたい場合は番茶は向かないと思う。

この辺に関しては、個人の好みの問題になるので一度飲んでみてご自身で確認していただきたい。




【番茶についてのまとめ】

・軽くて飲みやすいから特に日常用でガブガブ飲むのに向いている

・カフェインが少ないから低刺激で老若男女から妊婦まで安心して飲める

・糖尿病予防、肥満防止、カテキンによる多くの健康効果が期待できる

・飲みごたえのある濃いものを飲みたい場合は向かない 





次回以降は、農薬や肥料の多投が与える影響についてお話していきます。



次回「農薬が茶や人体に与える影響」



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